富士通のノートPC、LIFEBOOKのTHシリーズである「WT1/F3」を購入したのでレビューします。
以下は富士通の公式ページより
15.6インチで1.39kg
この製品は量販店モデルでは「TH90/F3」であり、Web直販のカスタムモデルでは「WT1/F3」となります。富士通のTHシリーズは15.6インチの16:9の画面を備えつつも、カタログ重量1.39kgのかなり軽量なモデルです。15.6インチのノートPCは2kgを切っていれば軽量な方であり、14インチのモバイルノートであっても1.4kg程度の製品もあることを考えると、本製品は鞄に入れて外に持ち出すのに苦にならない重量に抑えているといえます。それでいて広い画面を備えているので、作業性の高さを失わずに持ち運びできるのが魅力です。
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天板とキーボード面にはテクスチャが印刷されているが、 布のような素材感は全くない |
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表面印刷されていない底面の方が質感良い説 |
正直デザインは人を選びます。私は好きではありません。THシリーズは家庭のリビングで使うことを想定しているので、家具と馴染むように布風のテクスチャが天板とキーボード面に印刷されています。これが正直ダサく感じます。私はこれを外に持ち出して使うことを想定しているので、家具的なデザインは自分の用途には合いません。裏面の方が質感が良いとすら思う次第です。
画面
ディスプレイは15.6インチの16:9で解像度は1920x1080です。大型ノートとしては至極一般的なスペックです。最近の流行は16:10で16インチであることを考えると、16インチノートには画面の広さで劣ります。しかしながらモバイルノートよりは作業性が高いでしょう。私の場合、フルHDの14インチでは125%表示、15.6インチでは100%表示で使います。この場合の作業画面の広さは以下の画像のように違います。
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14インチノートだと作業領域が狭すぎる |
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15.6インチだと100%表示で使っても平気なので、 作業領域を確保できる |
同じフルHDの解像度でも、125%表示と100%表示では作業領域が異なります。14インチノートだと100%表示は表記が小さすぎるため、100%で表示しても平気な15.6インチの方が画面の広さを活用でき、作業性が高くなります。
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ディスプレイの映り込みは激しい |
富士通のノートPCは現時点でほとんどの製品でグレア液晶を採用しており、画面の反射が酷いです。一般にグレア液晶の方が画面が綺麗だという風に喧伝されますが、最大輝度にしても自分の顔が映り込むディスプレイのどこが綺麗なのか、筆者にはさっぱりわかりません。特段この製品は大型ノートとしてはモバイルに向くので、アンチグレアである方が望ましいです。
キーボード
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テンキー付きで、均等な大きさのキー配列を実現 |
富士通のノートPCは日本語配列の中ではかなり打ちやすいキーボードを備えています。大型ノートの中で、4列テンキーを備えながら半角/全角キーからBackSpaceキーまで全て同じ大きさのキーを備えた製品は、富士通以外は作っていません。キーピッチこそは18.4mmと一般的な19mmよりもやや小さいですが、特定のキーが小さいことより遙かにマシです。ピアノの鍵盤であれば、特定の音域の鍵盤間隔を狭くするのはあり得ないですから。パソコンのキーボードも一部のキーを小さくするのはあり得ない設計です。筆者にとってはテンキー付き大型ノートの選択肢は富士通かvaioしかないです。キーボードはPCの操作で毎回必ず触る部品ですので、タイプのしやすさは製品の命です。
実はキーボードの打ちやすさ自体はTHシリーズよりもAHシリーズの方が上です。AHシリーズではキーピッチ自体は同じですが、キーストロークが2.5mmありキーボードの底まで叩くことは少なく疲れにくいです。THシリーズはキーストロークが1.7mmですので、勢いよく打鍵すれば、底を叩いている感じはあります。キーのタッチ自体は軽いので、軽くタッチして入力すると良いでしょう。またキーボードの配列自体もAHの方がBackSpaceとテンキーとの間がより広く取られているので、BackSpaceやEnterの操作時にテンキーを誤って触ることも少ないです。とはいえTHシリーズもAHほどではなくても優秀なキーボードですので、気にするほどではありません。比較すればAHの方が上というだけです。
タッチパッドに関しては、左右のクリックボタンが分かれていますが、クリックが固く設計が古いです。富士通の最近の筐体ではクリックが柔らかいものが増えてきたので、筐体が一新された新型が出てほしいところです。使いにくいのでマウスやトラックボールを別途持ち運ぶ方が良いでしょう。
端子
端子類は豊富ではありません。Thunderbolt 4 が2基とUSB 3.2 gen 1 type Aが1基、SDカードスロットが1基、イヤホンジャックが1基だけです。LAN端子やHDMIはありません。とはいえThunderbolt 4 を2基備えているので、ドッキングステーション等を使えば拡張は可能です。また純正のACアダプタは65WでThunderbolt 4 に接続して給電する仕様となっています。モバイル重視の製品なので端子が少ないのは致し方ありませんが、同社のUHシリーズではHIMIもLAN端子も備えた上で世界最軽量を謳っているので、UHシリーズよりも端子が少ないのは少々残念です。
別売りの充電スタンド
Lifebook THには別売りで充電スタンドが用意されています。これはあまりおススメできません。充電スタンドにはHDMI端子が備わっていますが、本体のThunderbolt 4 端子を2つとも塞いでしまうため本体の拡張性を損なってしまいます。これを買うぐらいならサードパーティのノートPC縦置きスタンドとドッキングステーションを別で用意した方が良いと思います。
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Thunderbolt 4 端子を2つも塞いでしまう |
性能
CPUは第11世代intel i7 1165G7を搭載していて、メモリは16GBのオンボードです。最近では第13世代intelも登場してきており、UHシリーズでも第13世代を搭載した新製品が発表されていることから、型落ち感は否めません。第12世代intelのi5 1235Uにも性能は劣ります。今新品で買うには微妙です。ただ非ゲーミングPCに求める性能としては十分ですので、用途がはっきりしているのなら特に不満はありません。
あとM.2スロットは1つだけですので、SSDの容量を増やしたい場合は交換することになります。メーカーのカスタムだと構成変更はぼったくり価格で、現時点では256GB→1TBへの変更が4万5000円程度です。キオクシアの1TBでも9000円前後*で買えますから、保証継続させるのに4万5000円払って1TBにするか、9000円で自己責任で交換して保証を捨てるかの選択です。いい商売してますね。最小構成なら価格はそれなり*です。
*商品情報は以下の通り。各社価格は似たようなものです。
**2023/02/23時点でセール価格で15万2800円~。軽量さも付加価値だしそもそも海外メーカーの格安機と比較してはいけない。
総評
私自身は、日本語配列でテンキーを備えていて広い画面を最小で持ち出せるノートPCを欲していました。本製品はそれに合致する製品だったため購入に至りました。やはりモバイルノート級の重さは、リュックに入れても存在が気にならない点で魅力です。しかし今買うには筐体の古さやCPUの世代の古さが気になってしまいます。
なお軽量な大型ノートというジャンルにおいては、ほかにLGが「gram」という魅力的な製品を出しています。こちらは16インチでより軽量かつより高解像度でより高性能です。キー配列に妥協できるのであれば、あらゆる点で「gram」の方が魅力的なので、一般には「gram」の方がオススメです。まぁ使ったことないので実際のところは分かりませんが。